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2005/06/18

「アマゾン・ドットコムの光と影」

横田増生「アマゾン・ドットコムの光と影」(情報センター出版局)を読んだ。
元物流業界紙記者である著者が、アマゾンの物流センターに2003年11月から2004年3月までバイトとして働いた際の潜入ルポ。
なるほど、こういう仕組みで本が24時間以内に発送されるのかというのがよく分かる。
その影には、アルバイトの人たちの過酷な労働があったのだ。
倉庫内には、冬でも暖房はなく、ピッキングと呼ばれる本探し担当のアルバイトのノルマは、一分間に三冊!
しかもいくら熟練したところで昇給はなし。
著者は、そういうアルバイトたちに質問する。
アルバイトするまでに、アマゾンを利用したことがあるか?
買ったことがあると返答したアルバイトは、一人もいなかったそうである。

著者は、職場としてのアマゾンには、不満を抱きながらも、利用者としてはどんどん好きになっていく。
まあ、おれもアマゾンは大好きだ。
リアル書店も嫌いではないが、書店まで行って欲しい本がなかったときの徒労感と、無駄にした時間への後悔。
それに較べ、アマゾンなら家にいながらにして在庫の有無がわかる。
あなたのお買い上げになった本を買った人は、他にもこんな本を買っていますとか言われると、最初は余計なおせっかいだと思っていたが、いつの間にか慣れてきた。

リアル書店やネット書店の今後についても書かれていて考えさせられる。
アマゾンの売上は、もうすぐリアル書店最大手の丸善や紀伊国屋に並ぶということだ。

アマゾン・ドットコムの創業者のジェフ・ベゾスが目指したのは、「小さな書店」。
客ひとりひとりの好みまで、知りつくしている書店だそうだ。
それは、成功したのか。
アマゾンの売上を見ると成功したと言えそうである。

新聞の書評を読んだらこの本が欲しくなり、リアル書店で探したが見つからず、結局アマゾンで買ってしまいました(笑)

アマゾン・ドット・コムの光と影―潜入ルポ
横田 増生
4795843422

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コメント

読みました
アルバイトの人たちが切ないですね
これからはもっと真面目に生きようと思いました

投稿: 暮れなずむ街の | 2005/06/21 00:45

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