小説「ミリオンダラー・ベイビー」
F・X・トゥール「ミリオンダラー・ベイビー」(ハヤカワ文庫)を読んだ。
映画「ミリオンダラー・ベイビー」のストーリーは、この本の中の短編「ミリオンダラー・ベイビー」と「凍らせた水」の2本を組み合わせてつくったものだ。
この短編集は、ボクシングをテーマにした小説ばかり集めたものだが、ボクサーが主人公の小説は一作もない。
どれもトレーナーやカットマンといったリングの脇役が主人公だ。
カットマンとは、ボクサーが出血したときに、止血して戦い続けられるように手当てをする人だ。
そしてトレーナーやカットマンを通して、ボクシングを描くことによって、そこに人生の縮図を浮き彫りにしている。
あきらかに、不正な判定によって負ける者。
未来を嘱望されたボクサーを襲う不運。
リングには、神がいないのかと嘆きたくなるような、運命の理不尽さ。
そういう場面をいくつも見てきた作者だからこそ書けただろう、傑作ぞろいの短編集だ。
ちなみに作者は、ボクサー、トレーナーを経て70歳で小説家としてデビューしたそうである。
ミリオンダラー・ベイビー
F.X.トゥール
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント