もうひとつの失踪日記だ「55歳の地図」
黒咲一人の「55歳の地図 実録!リストラ漫画家遍路旅」(日本文芸社)という漫画を読んだ。
「ハスラー・ザ・キッド」、「無頼風」等の作品で知られる著者だが、あるときからばったり原稿依頼がとだえ、家財道具を処分し、部屋をひきはらい、自分が生きていく道を探すために放浪の旅に出る。
そして、あてのない放浪の旅よりはましと「四国遍路」をすることにする。
この漫画はその四国遍路の道中で起こったことを、日記のように描いた漫画である。
三輪自転車に20キロ近い家財道具を積んで出発するのだが、いきなりパンクし予約していたフェリーに乗り遅れる。
そんなのは、序の口で数々の不幸が著者を襲う。
しかも、冬から遍路をはじめてしまったものっだから、寒さとの戦いもある。
金もないので、最後の目的地高野山に着くまでには一日300円しか使えない。
最初のころは、まるで死に場所を求めるように旅していた著者だが、親切な人たちとの出会いによって、しだいに生気を取り戻していく。
ともかく、人は一人では生きていけないということを教えてくれ、生きる勇気を与えてくれる作品である。
55歳の地図
黒咲 一人
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