喪男の星アンデルセン先生!
アンデルセン自伝―わが生涯の物語 ハンス・クリスチャン・アンデルセン 大畑 末吉 岩波書店 1984-01 売り上げランキング : 67,415 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
2ちゃんねるでは、喪男としてすっかり有名になってしまったアンデルセン先生。
キモメンだった。一生童貞だった。あこがれの人を脳内妻にしていたなどの報告が多数寄せられていた。
さて、その生涯の実像にせまろうと読んでみました「アンデルセン自伝」(大畑末吉訳 岩波文庫)。
しかし、けっこう本人の妄想も入っているらしいので鵜呑みにはできません。
確かに、最初から終わりまで恋愛についてのエピソードが全然ありません。
自分が書いた詩を最初に誉めてくれたのはどこそこの女の子だっただの、才能のある歌手の子とひんぱんに行き来するようになりましただの書かれてはいるのだが、それ以上発展したような記述はない。
アンデルセン先生は、このスウェーデンの歌手ジェニー・リンドのことが好きだったようなのだが、相手には嫌われていたらしい。
彼女がデンマーク(先生の母国)からスウェーデンに帰国するというのでパーティーが開かれるのだが、招待客は彼女から記念品をもらえるのだが、先生だけはもらえなかったらしい。
そしてそのパーティーの席上でこう言われてしまうのである。
「アンデルセン様、あなたはわたしのお兄様になっていただけますでしょうか」
そのあとの先生の述懐。
「私にとって彼女はかぎりなく大切な人となった」
ちがうー!
先生はていよく拒絶されたんですよ。
まあ、そういう喪男ネタはともかく、同時代の有名人が続々出てきて先生と交遊を深めていく。
メンデルスゾーン、シューベルト、アレクサンドル・デュマ等々。
そういう部分の描写が楽しい。
しかし、先生も一時期は出す作品、出す作品デンマーク国内では常に酷評されていたらしい。
それをひたすら書きつづけることによって、打ち破っていったのだ。
そして、先生はいつも神に感謝することをわすれない。
いい旅ができれば感謝、いい人に出会えれば感謝。
その心根は、とても純粋で美しかったのだろう。
そのへんが、キモメン喪男のためにひねくれてしまったオレとは全然違うところである。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント