日本人は格差社会が好き
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小林多喜二「蟹工船」を読んだ。
蟹工船とは、海上で取った蟹をそのまま缶詰に加工してしまう設備を備えた船である。
この小説は、昭和4年に書かれたものである。
そのころでも、さすがに工場法という今の労働基準法のような法律があったのだが、蟹工船は工場ではないというので、この工場法が適用されない。
つまり、そこでは労働者をどんな過酷な労働条件で働かせようが罰せられないのである。
また、海上ということもあり、そこでは経営側の横暴も許されたのである。
監督に殴られて死んでしまっても、死体はその辺に捨てられ筵が上にかけられただけで何日も放置される。
なぜ、そんな過酷な場所で働かなければならないのか。
農家の二男、三男や北海道に開拓に来たものの結局土地を金持ちに取られてしまった者、元抗夫など。
集まってくる労働者は、はいて捨てるほどいたのだ。
彼らは、資本家の横暴に唯々諾々と従わなければ生きていけないのだ。
すさまじい格差社会。
まだニートという反抗手段を持つ我々は、幸せなのかもしれない。
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