「パッチワーク・プラネット」
![]() | パッチワーク・プラネット アン タイラー Anne Tyler 中野 恵津子 文藝春秋 1999-03 売り上げランキング : 180853 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
アン・タイラー「パッチワーク・プラネット」読了。
「本の雑誌」8月号の豊﨑由美と牧眞司の対談「文学を読むとダメ大人になる!?」の中で豊﨑由美が言っているのだが、海外文学の読者は3000人だそうだ。
まあ、そうだろうなあ。
最近本屋に行っても、立ち読みしている人やマンガを買っている人は見かけるが、小説ましてや海外小説を買っている人なんて見たことない。
この小説、30過ぎのダメ男のダメな日常をたんたんと描いたもの。
凡庸な小説家だともうドラマの作りようがない設定。
そこを、うまく読ませる小説に仕上げた作者はすごい。
主人公が勤める会社は、ちょっとした頼まれ仕事を何でも請け負うのが仕事。
仕事を頼んでくるのは主に老人。
主人公は、老人たちに絶大な信頼を得ているのだが、自分でダメな奴だと思い込んでいる。
その彼の視点から家族や老人たちの生活が描かれている。
普通の小説だと老いるのも悪くないみたいな書き方をしているが、この小説を読むと老いるのが怖くなるような身も蓋もない書き方をしている。
まあ、読後感はさわやかだが胸に何かじわっとした感じが残る不思議な小説である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント