ニート>>>大臣
山田風太郎の「風眼抄」(中公文庫)を読んだ。
エッセイ集である。
なかでも「啄木記念館にて」という文章を読んで考えさせられた。
石川啄木の盛岡中学時代の一級上に及川古志郎がいた。
啄木と及川は校内ストライキのときに行動をともにしたという。
啄木はほとんどニートで詩を書いていたが、及川はついには海軍大臣にまで出世する。
しかし、及川は日独伊三国同盟を締結するという大失敗をやらかす。
そう太平洋戦争敗戦の責任者といってもいいのである。
しかし、いまやその名前はよほどの人ではないと知らないであろう。
一方啄木の方はどうだろうか。
貧窮のなかで死を迎えたが、今ではその詩は学校の教科書に載り、啄木記念館まである。
どちらが、勝ったかは明白であろう。
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