ふるさとへ廻る六部は
藤沢周平「ふるさとへ廻る六部は」(新潮文庫)を読んだ。
著者の晩年に出版されたエッセイ集である。
特に「出発点だった受賞」という文章を読んで考えさせられた。
四十歳前後のころの著者は、「小説にでもすがらなければ立つ瀬がないような現実も抱えていた。せめて新人賞に夢を託すようなことが必要だったのである」という状況だった。
何だかとてもわかるような気がする。
四十ぐらいになると、自分の未来はだいたい見えてくる。
見たくなくても、見えてくる。
それでも何か希望が欲しいのだ。
そして藤沢周平は、見事小説の新人賞を受賞して作家になった。
もし、彼がそのまま業界紙記者というサラリーマンのまま生きていたらどうだったろう。
どこかで壊れてしまったのではなかろうかと思わずにいられないのである。
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コメント
がんばってる人って確かにかっこいいですね。
見てるこっちも元気をもらえるというか。
投稿: 不労児 | 2008/10/30 22:43
ほほー。
人それぞれ、生き方が違うし、価値観っていろいろでいいと思うんです。いくつになってもどんな人生でも、がんばってるのっていいと思いますよー。
さらにいわせていただくと、これはあくまでも個人的な考えですけど、周りの人を見てるとき、成し遂げた後の結果ではなくて、何か目標を達成しようとか、自分はどんな人間なんだろうとか、わからなくて、もがき苦しんだり、試行錯誤しているときって、どんな人でもドラマを感じていいです。おおげさじゃなくて、心打たれるときあります。
自分もたいした人じゃないからえらそうな事いえないんですけど。。。
投稿: | 2008/10/29 11:34