偏屈老人の銀幕茫々
偏屈老人の銀幕茫々
石堂 淑朗
石堂淑朗「偏屈老人の銀幕茫々」(筑摩書房)を読んだ。
面白い。
もうこれが最後の著作になるだろうということで、書きたいほうだい。
登場するのは、脚本家としていっしょに組んで仕事をした今村昌平、浦山桐郎、大島渚、実相寺昭雄、大学の同級生だった種村季弘、藤田敏八、週刊誌のライターだったとき取材した三島由紀夫など錚々たる面々。
大島渚夫人小山昭子が大根女優だとか、木下恵介は教養がないとか、その筆は止まらない。
特に藤田敏八との関係は強烈。
大学時代、著者がひそかに思いを寄せていた女性が藤田敏八に犯されたらしいと知るや、包丁をもって藤田が住んでいた学生寮に殺意をもって乗り込むのである。
あと共感できたのは、ブ男だった著者は、通っていた高校が次の年から共学になると知るや、さっさと退学してしまうところ。
その部分が泣かせる。
「共学になっても、女は誰も口を利いてくれそうにない、俺一人、仲間はずれにされるのではないかと恐怖にうなされはじめたのである」
うらやましい。俺にもこの行動力があれば。
何を間違ったか共学校なんぞに行っちまった俺の地獄の三年間。
ああ、もどれるものなら、中学校ぐらいからやり直したい。
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