東洲しゃらくさし
あけましておめでとうございます。
今年もあまりやる気なし。
できれば今年こそ仕事をやめたい。
何もしたくない。
松井今朝子「東洲しゃらくさし」(PHP文庫)を読んだ。
時は寛政の改革後の江戸に活気が戻ったころ、上方の人気歌舞伎作者並木五兵衛が江戸の芝居小屋からヘッドハンティングされる。前に江戸で舞台を見たことがあった五兵衛は、その貧弱な舞台装置が気にいらず、どうせ自分が行くならと、舞台装置もあっと言わせるものにしようと考える。そこで道具方大工の十次と大道具の彩色方の彦三をいっしょに連れて行こうと考えた。そして絵のうまさを見込んで、彦三に先に江戸に下って、江戸の様子を絵で知らせてよこせと頼む。
物語は作者得意の芝居の薀蓄とからめて進んでいき、写楽の謎よりも、五兵衛が江戸で作者として成功できるかの方に関心がいってしまう。もちろん写楽がなぜ短期間で消えたかも納得がいく結末が用意されているが。
ともかくデビュー作でこれを書いてしまう松井今朝子は、おそろしい作家なのであった。
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