老ヴォールの惑星
小川一水「老ヴォールの惑星」(ハヤカワ文庫)を読んだ。
中編4つをまとめたもの。
政治犯として地下の迷宮牢に永久追放された男が、弱肉強食の世界でコミュニティを作りつつ生き延びようとするとする姿を描く「ギャルナフカの迷宮」。
地球とは違った環境の惑星で進化をとげた知的生命体が、一族滅亡の危機が迫るなか、偉大な先人老ヴォールの遺した言葉を信じ、自分たちの知識だけでも後世に遺そうと他の惑星にメッセージを送り続ける「老ヴォールの惑星」。
謎の施設がいつの間にか建造され木星の大気がどこかに運ばれていることを察知した人類が、その送り先に乗り込みその施設をを作った生命体とコンタクトを取ろうとする「幸せになる箱庭」。
海しかない惑星に不時着した軍人が、救難のわずかな可能性しかない状態で、宇宙間通信の通話だけを頼りに、何年も漂流する「漂った男」。
と4作とも傑作。
SFなんだけど、読んでるとジャンルなんて忘れてしまう心地よさ。
SFだとどうしてもストーリー重視になりがちだが、小川一水はちゃんと人間を描いている。
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