永井荷風先生のように生きたい
佐藤春夫「小説永井荷風伝 他三篇」(岩波文庫)を読んだ。
永井荷風の弟子を自認する(荷風先生は微塵もそんなことは思ってなかったであろうが)佐藤春夫が書いた評伝である。
荷風先生のような個人主義者が幸せに生きるには、妻帯せずに独身で生きるのが一番なのである。
先生は背も高くそこそこ二枚目なのだから、それなりにモテたのにあえて独身だった(一度結婚するもすぐ離婚)のである。
その孤独死だった最後だけを見て、不幸だったように言う人もいるが、本人はそんなことは全然思ってなかったであろう。
その晩年について佐藤春夫は、「近隣の一品料理などへ出かけて何の油を使っているとも知れない安テンドンなどを残さず貪っていた」などと書いているが、NHKテレビの番組で、坪内祐三がその店を訪ねたときに、店の人は「先生はおいしそうに食べていました」と証言していた。佐藤春夫にこんな風に書かれているとは、店の人は夢にも思わないであろう。
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