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2012/05/13

リヴァイアサン クジラと蒸気機関

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
スコット・ウエスターフェルド Pablo Uchida Keith Thompson

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
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スコット・ウエスターフェルド「リヴァイアサン クジラと蒸気機関」(新ハヤカワ・SF・シリーズ)を読んだ。

改変歴史ものSFだと第二次世界大戦が舞台のものが多いが、これは第一次世界大戦モノ。
ダーウィンが遺伝子操作の方法まで発見したことになっていて、イギリスなどはこれを兵器開発に取り入れているという設定。
ということで、クジラに蒸気機関をつけて、飛行船みたいにしたものがリヴァイアサンと呼ばれる飛行獣。
これに乗り込むことになるのがイギリス軍の士官候補生デリン。

もう一方の主人公は、オーストリアの大公の息子アレック。
アレックは両親が暗殺されたために、二足歩行型ロボット、ストームウォーカーに乗り込み逃避行をすることになる。

面白いことは面白いのだが、ちょっと爽快感が足りないか。
シリーズものの一冊目なので、2巻以降に期待。

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2012/05/11

これがおれが待っていた小説だ

根津権現裏 (新潮文庫)
藤澤 清造

根津権現裏 (新潮文庫)
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藤澤清造「根津権現裏」(新潮文庫)を読んだ。

いやあ、すばらしい。
これほどの傑作が今まで埋もれていたとは信じられない。
いままであまたいた文芸評論家の目は節穴か?
出版社の編集者にしても、この傑作を探し出して復刊する奴がいなかったとは、日本の出版界のレベルは低すぎると言わざるを得ない。

確かに漱石や太宰の小説の主人公たちも苦悩するが、この小説の主人公の苦悩と較べたら、それはおぼっちゃまの苦悩である。
漱石や太宰の小説の主人公たちの苦悩が人間関係から生まれる精神的なものなら、この小説の主人公の苦悩は、金がないための肉体的な苦悩なのだ。
そして、貧乏なのに女にはもてる川崎長太郎の小説の主人公と違い、この小説の主人公は貧乏ゆえに女と別れてしまったのだ。
主人公とその友人との会話がいい。
自分たちに金があったらどうするかを語り合うのだが、主人公はまず女を買いにいくといい、友人は書籍が買いたいという。しかし突然自分たちにはまとまった金が入るあてなど全然無いことに気づくのだ。

もう全編、全世界の貧乏で非モテのために書かれた、我々の傷に塩をぬり込むような恐ろしい小説である。
しかし、主人公の考えやセリフにいちいちうなずき、最後には、自分の生まれの不幸と小説のすばらしさに涙せずにはいられないのである。

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