のぼうの城
のぼうの城 上 (小学館文庫)
和田 竜
和田竜「のぼうの城」(小学館文庫)を読んだ。
主人公の成田長親の造形がいい。
武士のくせに武芸がだめで馬にも乗れない。
農作業が好きで、手伝いたがるのだが、あまりに不器用すぎて、農民たちに断られる。
家臣からも、領民からものぼう様と呼ばれている。のぼうとは木偶の坊の省略である。
そんな男がわずかな城兵と農民とともに、天下の豊臣軍を相手に籠城戦を繰り広げる。
豊臣軍の総大将は石田三成。
あまりの情けなさに回りのみんながほっとけなくなってしまう魅力が長親にはある。
そして、それだからこそ、家臣たちは思い思いに自己の能力を発揮していく。
項羽と劉邦でいえば、劉邦タイプか。
しかし、こういう男の方が、組織のリーダーとしてはなまじ本人が優秀な男より、業績を上げたりするから、世の中は面白い。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント