折り紙衛星の伝説
折り紙衛星の伝説 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)
大森 望
大森望・日下三蔵編「年刊SF傑作選 折り紙衛星の伝説」(創元SF文庫)を読んだ。
やはり酉島伝法の「環形錮」が圧倒的世界観で読ませる。
尊属殺人を犯して環形錮というミミズみたいな虫にされて地中の牢獄に閉じ込められた男の脱獄劇と書いても何が何やらわからないでしょうから、読んでみてください。
そういえば昔似たようなマンガがあった。手塚治虫の短編「ザムザ復活」。こちらも傑作だ。
「環形錮」はややグロい話なのでこの本で一番気に入ったのは草上仁の「スピアボーイ」である。
こちらは異星を舞台にした西部劇とでもいおうか。馬の代わりのスピアという空飛ぶ竜のような動物を乗りこなす男たちカウボーイならぬスピアボーイの物語。
一度挫折を味わった男が見せる意地がかっこいい。
そしてお楽しみが第六回創元SF短編賞受賞作、宮島伊織の「神々の歩法」。
うーん、これいつもの年だと優秀賞レベルで大賞は取れなかったのではないのかな。
職人芸なんだけど、今まで出たいろんな小説のいいとこ取りをしただけで、衝撃を受けないんだよね。
たまには、英断で大賞無しでも良かったんだろうけど、本が売れないこのご時世にそんなことは許されなかったのかな。
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