2017/10/14

巨神計画

巨神計画〈上〉 (創元SF文庫)
シルヴァン・ヌーヴェル 加藤 直之
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シルヴァン・ヌーヴェル「巨神計画」(創元SF文庫)を読んだ。
アメリカの11歳の少女が偶然落ちた穴の中で巨大な金属の手を発見する。驚くべきことにそれは6000年前に地球外の生命体が残していったロボットの一部だと判明。残りのパーツの回収がはじまる。
これだけで、中高年SFファンはノスタルジーを感じて読みたくなってしまうだろう。
最初に手を発見した少女が大人になって物理学者になるまで、この手がいつの間にか興味を失われ倉庫の片隅にねむってたとか、ご都合主義の展開があるものの、読みはじめたらやめられない面白さ。
でも、あれれ、なんか尻切れトンボの終わり方だぞ。
解説を読むとなんと3部作の第1部だったのだ。
これは失敗。読むの早すぎた。次が待ちきれない。

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2017/04/17

さらば栞子さん

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)
三上 延
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「ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台」(メディアワークス文庫)を読んだ。

ついに最終巻ということで感慨深い。
1巻目が出てから6年なのだが、物語の時間では1年しか経っていないのに驚く。
で、テーマがシェイクスピアのファースト・フォリオなのだが、これが今まで出てきた本の中では一番すごい。
なんせ400年近く前に出た本だから、億単位の価値がある。
この本をめぐって、栞子さんと母智恵子が対決することになるというのだから、否が応でも盛り上がる。
そして、栞子さんと大輔の恋愛も盛り上がる。
といってもやっぱり1巻目が一番面白かったかな。
このあと、映画化やアニメ化もあるんでまだまだブームは続くんでしょう。
あと小説の方もスピンオフが出るらしいということが作者あとがきに書かれてます。

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2017/01/27

水の城

水の城―いまだ落城せず 新装版 (祥伝社文庫)
風野 真知雄
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風野真知雄「水の城 いまだ落城せず」(祥伝社文庫)を読んだ。

映画「のぼうの城」で有名になった、豊臣秀吉軍の忍城攻めの話である。
寄せ手の総大将は、石田三成。籠城側の総大将は、成田長親。
この成田長親、人に憎まれないのが取柄といった、これといった長所もない武将なのだが、農民や商人の言うことでも良いと思うことはすぐ採用するなど、人情の機微には通じた武将なのだ。
この男のもと不思議と城内の士気は高まり、攻めづらい沼地に建てられた城という地の利もあり、十倍以上の兵力で攻めてくる豊臣方に対抗し、最後まで落城しなかったのである。
攻めあぐね焦る石田三成、これを淡々とやりすごす成田長親の対比が面白い。
また、脇役も魅力的で、和田竜の「のぼうの城」より面白かった。

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2016/12/07

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
ピーター トライアス 中原 尚哉
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ピーター・トライアス「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」(新ハヤカワ・SF・シリーズ)を読んだ。

改変歴史もののSFである。
舞台は第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界のアメリカ西海岸。
主人公のオタクでデブな軍の検閲官石村紅功(べにこ・親が女の子が生まれると思い込んでたので男なのにこの名前)。コンビを組むのが特高警察の槻野昭子。
二人が、アングラで出回るもし第二次世界大戦にアメリカが勝っていたらという反動的ゲーム「USA」の制作者六浦賀将軍を探すというのがメインストーリー。
本の表紙になってる巨大ロボットも出てくるけど、ほとんど活躍場面なし。
作者が描きたかったのは、自由がない思想統制がされた社会のおそろしさだろう。
主人公は複雑な人物としてよく描かれているが、その分感情移入はしにくい。

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2016/01/05

獅子は死せず

獅子は死せず(上) (中公文庫)
中路 啓太

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中央公論新社 2015-11-21
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中路啓太「獅子は死せず」(中公文庫)を読んだ。

今年の大河ドラマ「真田丸」がもうすぐはじまる。
ほとんど期待してないが興味ただ一点、この小説の主人公毛利勝永が登場するかどうか。
大阪夏の陣で活躍したものの、ほとんどのドラマや映画でスルーされてしまうかわいそうな武将である。

物語は大阪冬の陣直前からはじまる。
関ヶ原の戦いで西軍に味方したためお家おとりつぶしになり、土佐山内家にお預けの身となった勝永だったが、名誉回復の機会を得ようと、山内家に冬の陣への出陣を願い出るも、山内家は幕府の目を恐れてか許可しなかった。
そこへ豊臣秀頼からの大阪城に入場してほしいとの密書を持った密偵がやってきて、大野治長は勝永に大坂方の総大将になってほしいと思っていると告げられる。
大坂方に勝ち目はないと思って断った勝永だったが、大坂方に味方せざるを得ない事件が起こってしまう。

毛利勝永がすべてが見えすぎてしまうような頭のよい武将として描かれていて、そんな男がなぜ勝ち目のない大坂方に味方して最後まで戦うのかを読者に納得いくように物語は進んでいく。
勝永自身は最後まで勝利を信じて、素人集団である牢人たちを一個の獅子として戦場で動けるように調練していく。
しかし、その思いを共有できたのは真田幸村ぐらいでほかの主だった武将たちは最後の一花を咲かせる場所欲しさに戦に参加したのに過ぎなかったのだ。
そして家康本陣をくずした真田幸村の名は後世まで残るも、同じ戦場で奮戦した毛利勝永は今でもなぜか影が薄いままなのである。

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2015/09/19

推理小説常習犯

推理小説常習犯―ミステリー作家への13階段+おまけ (講談社プラスアルファ文庫)
森 雅裕
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森雅裕「推理小説常習犯 ミステリー作家への13階段+おまけ」(KKベストセラーズ)を読んだ。
これ1996年に出たときすぐ買ったはずなんだけど、ずっと積ん読だった。

表向きは推理作家になるための指南書なのだが、裏を返せば業界暴露本という恐ろしい本。
一応K社とか伏字にしてますが、大手出版社なんて少ないんだから全然無意味。
この本出したせいなのかどうなのか、著者は数年前コンビニで働いていたときの体験をまとめた本を出したきりのような気がする。
出版というのは基本が口約束の世界なので、せっかく書いても原稿料もらえなかったり、ドラマ化の約束が反故にされたりということが日常茶飯事のようです。
そして非常識でバカな編集者とやりとりしなければならないわずらわしさ。
普通の人間なら耐えられないでしょう。
村上春樹ぐらいになれば、編集者も畳に額をこすりつけて原稿を依頼に来るのでしょうが、売れない作家は悲惨です。編集者にゴーマンかまされます。
また、編集者がこれだけバカだとろくな本が出版されていないということもうなずけます。

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2015/09/17

ライバル日本美術史

ライバル日本美術史
室伏 哲郎
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室節哲郎「ライバル日本美術史」(創元社)を読んだ。

美術史をライバルという視点でとらえた本。
なかには生没年がずれていて面識もなかった二人をライバルとしていたり少し無理がある。
最初から恵まれた環境だった人、苦労して成功した人、順風満帆だったのに事件に巻き込まれ転落していく人、それぞれの人生が面白い。
東洲斎写楽が誰だったかも著者は案外簡単にこの人だと断定している。
本格的な美術史は固すぎてとか言う人はこういう本から入ってみたらどうでしょうか。

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2015/09/13

書生の処世

書生の処世
荻原 魚雷
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荻原魚雷「書生の処世」(本の雑誌社)を読んだ。

本にまつわるエッセイ集。本の雑誌の連載をまとめたもの。
著者が書いているように本に救われるってことが人生にはよくある。
その辺のことは本を読まない人間には説明しづらいのだが。
この著者は、本を読んでるか、古本屋を回ってるか、酒飲んでるかでよく生活が成り立ってるなといつも思う。
共働きだからこそなんだろうけど。
肩の力を抜いて生きると人生悪くないもんですよと教えてくれる。
この本に教えられて読みたくなった本も多い。
著者のように東京住まいなら、息抜きにふらりと古本屋に出かけられるのだが、うちの町にはブックオフしかないからなあ。

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2015/09/07

折り紙衛星の伝説

折り紙衛星の伝説 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)
大森 望
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大森望・日下三蔵編「年刊SF傑作選 折り紙衛星の伝説」(創元SF文庫)を読んだ。

やはり酉島伝法の「環形錮」が圧倒的世界観で読ませる。
尊属殺人を犯して環形錮というミミズみたいな虫にされて地中の牢獄に閉じ込められた男の脱獄劇と書いても何が何やらわからないでしょうから、読んでみてください。
そういえば昔似たようなマンガがあった。手塚治虫の短編「ザムザ復活」。こちらも傑作だ。

「環形錮」はややグロい話なのでこの本で一番気に入ったのは草上仁の「スピアボーイ」である。
こちらは異星を舞台にした西部劇とでもいおうか。馬の代わりのスピアという空飛ぶ竜のような動物を乗りこなす男たちカウボーイならぬスピアボーイの物語。
一度挫折を味わった男が見せる意地がかっこいい。

そしてお楽しみが第六回創元SF短編賞受賞作、宮島伊織の「神々の歩法」。
うーん、これいつもの年だと優秀賞レベルで大賞は取れなかったのではないのかな。
職人芸なんだけど、今まで出たいろんな小説のいいとこ取りをしただけで、衝撃を受けないんだよね。
たまには、英断で大賞無しでも良かったんだろうけど、本が売れないこのご時世にそんなことは許されなかったのかな。

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2015/08/05

歴史読本季刊化の衝撃

知らなかったけど今年の4月から雑誌歴史読本が月刊から季刊になっていたんだね。
SFマガジンが隔月刊になったときもびっくりしたけど、それほど本が売れてないんだなあ。
書籍、雑誌の返品率が42%というから、本屋に並んでる本の半分近くは売れないで返品されてしまうということだ。
ただでさえ売れないところにスマホの普及と消費税アップでとどめをさされたというこか。
もうひとつびっくりしたなのは、歴史読本の発行元の新人物往来社もKADOKAWAの子会社に吸収合併されて無くなってたこと。
もう出版で儲けるのは不可能な時代なんだな。

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